生活をデザインする~本気のリハビリ~

理学療法士が伝える、生活を組み立てる知識と技術をお伝えしたいと思っています。

特別養護老人ホームでの食事

特別養護老人ホームに勤務している理学療法士です。

 

さて。食事ですが。どんなイメージを持っておられますか?

高齢者の好まれる食事にはなりますが、別に煮物焼き物三昧になることは滅多にありません。

カレーやラーメンも普通にでます。今日の夕食はオムライスでした。

 

ただ、高齢になると俗に言う“普通の食事”を取ることが難しくなってこられてきます。

原因にはいくつかありますが、主だったものは口腔機能の低下があげられます。

 

口腔機能の低下にはいろいろあります。

・舌の運動機能の低下

・唾液分泌量の低下

・咀嚼機能の低下

 

などなど。

ここに姿勢保持能力の低下や認知機能の低下が加わると食事が命取りになる状況につながります。

 

そこで、高齢者施設ではその方の機能に合わせた食事を提供することになります。

まずは柔らかく炊いたもの。細かく刻んだもの。

それも食べるのが難しくなると嚥下調整食と呼ばれるものを提供します。

調理したものを1度ミキサーにかけ、ゲル化剤を入れて再加熱後粗熱をとって完成。

今の施設ではなめらか食の名称で提供しています。

施設によってはソフト食、ムース食の名称がつかわれることがあります。いずれも舌で潰せる程度の硬さを持ち、口の中でまとまりやすく飲み込みやすい形状となっています。

 

なめらか食も難しくなると、なめらか食を潰したペースト食として提供します。すでに潰れている形状のため咀嚼の必要はありません。飲み込むことに集中してもらう形状です。

 

なめらか食、ペースト食と並行して高栄養ゼリーも提供することが多いです。

食べにくくなると必要な微量栄養素が取りにくくなります。体のバランスを取るために補助食品を利用するわけです。

 

フレイル、サルコペニアロコモティブシンドロームが提唱されて久しいですが、食べることができる方は改善の余地があります。

 

理学療法士として食事面で取り組んでいるのは

・姿勢保持方法

・食事動作環境設定

・嚥下関連筋の促通

あたりです。

また、管理栄養士と連携してリハ栄養にも取り組み始めています。(まずは評価から)

 

特別養護老人ホームはどうしても終末期ケアを見越したケアにつながりますが、自分で動くための体作りを行うことは急性期からの共通した課題です。

特養という生活の場所だからこそ取り組んでいきたいなと思います。